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コラム

落雪による被害は想像以上!読み方や実際の事故事例、対策を紹介

「落雪は危ないと聞いたけど、なぜ?」と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

雪はまとまって落ちるとかなりの重さになり、命を脅かすほどの危険があるものです。

降雪が少ない地域の方は落雪の危険度を知らないことが多く、対策も不十分な場合が見受けられます。

本記事では落雪の危険性や実際に起きた事故事例について説明しています。

落雪の危険性を知り適切な対策を行うと不幸な事故や大きな損害を免れやすくなりますので、ぜひご一読ください。

「落雪」の読み方

落雪の読み方は「らくせつ」です。

通常空から降る雪は「降雪(こうせつ)」で、屋根など高いところから積もった雪が崩れ落ちていく様子が落雪です。

雪崩も雪が落ちていく現象ですが、落雪はより小さなケースを表します。

雪が落ちる規模によって言葉が異なることを覚えておいてください。

落雪による主な被害

雪止めネット7

落雪対策を施さない場合、様々な被害が想定されます。

・人間への被害
・自宅への被害
・出入り口がふさがる被害
・隣家への被害

上記3つの被害について詳しく説明します。

人間への被害

落雪が人間に当たると死に至るケースもあるので注意が必要です。

降雪中の雪は軽いですが、降り積もって塊になると想像以上に重くなります。

特に高所から落下した雪は重力によりさらに危険度が増します。

屋根に溜まった雪は塊で落下しやすいため落雪対策は必須です。

自宅への被害

屋根からの落雪は自宅の周囲にある物に被害をもたらします。

雪は塊が落下するとかなりの衝撃を与えてしまうものです。

植木鉢などの小さなものはもちろん、カーポートや雨樋に落下すると補修が必要になるほどの大きな破損に繋がりかねません。

降雪時は自宅周囲に壊れやすいものがないか確認してみてください。

出入り口がふさがる被害

落雪により出入り口の前に雪が積もると、自宅から出られなくなる可能性があります。

雪がドア付近に着雪しながら積もると出入り口がふさがれてしまいます。

雪の日は外出しないほうが良いですが、外の物置に何かを取りに行くことがあるかもしれません。

外に出られないと、灯油がなくなったり給湯器の排気口や吸気口が雪でふさがれたりしても、寒い家の中で待つことしかできなくなってしまいます。

落雪によりドアの前の雪山が高くなると孤立する場合もあります。

隣家への被害

落雪は自宅のみならず隣家に落ちて被害をもたらすケースもあります。

近隣に被害が及ぶと損害賠償に発展する場合もあり注意が必要です。

実際に起こった事例としてアパートからの落雪で隣家との境界線のフェンスを破壊し、損害賠償に発展した例があります。

特に自動車などに損害を与えると高額な賠償に繋がりかねません。

隣家との距離が近い方は特に注意してください。

落雪による実際の事故事例

屋根の雪3

とても危ない落雪ですが、実際に起こった事故を知ると危険度がよくわかります。

・屋根からの落雪による死亡事故
・太陽光パネルからの落雪による事故
・落雪によりガス爆発が発生した事故

これらは落雪が原因で発生した事故です。

1つずつ詳しく説明します。

屋根からの落雪による死亡事故

道路に面した建物の屋根から落雪が発生し、直撃した4歳の子供が亡くなっています。

この事故では落雪による危険を放置したとみなされ、国と建物の所有者に賠償責任が命じられました。

高所からの落雪が非常に危険であることを示した事故例です。

太陽光パネルからの落雪による事故

通常の屋根よりも滑りやすいのが太陽光パネルの特徴で、落雪に当たった人がムチ打ちを発症した事故が発生しています。

また太陽光パネルから自宅の物置やサンルームに落雪し、屋根を破損する事故も起こりました。

太陽光パネルを設置しているご家庭は、降雪時に注意が必要です。

落雪によりガス爆発が発生した事故

一般的に屋外にあるガスの設備は落雪の被害を受けやすいです。

落雪でガス設備が破損してガスが滞留し、爆発を起こすという事故が発生しています。

落雪による直接の被害だけではなく、二次災害を引き起こす可能性もあるので注意しましょう。

落雪被害を防止する雪国の住宅


雪が多く降る雪国では、落雪による被害を防止するため屋根に工夫を施している場合があります。

・落雪式屋根
・融雪式屋根
・耐雪式屋根

それぞれ特徴があるため、詳しく解説します。

落雪式屋根

落雪式屋根とは勾配が大きい屋根のことです。

勾配により雪が自然と落ち、雪がかたまりとなって落ちるのを防ぎます。

岐阜県にある有名な白川郷のような、急勾配のある屋根のイメージです。

屋根の積雪による住宅への負担も軽減できます。

ただし、落雪による被害に注意する必要があります。

融雪式屋根

融雪式屋根とは屋根をあたためて融雪する屋根のことです。

熱で雪を溶かすため、広い庭や雪下ろしの手間がかかりません。

落雪による事故や隣家への被害も少なくなります。

ただし、融雪設備にランニングコストがかかる点がデメリットです。

耐雪式屋根

耐雪式屋根とは、屋根の上に積雪したままでも耐えられる住宅のことです。

雪の重みに耐えられるため、一般的な住宅より強度があるところが特徴的です。

耐雪式屋根には2種類があります。

・スノーダクト方式
・ルースフラット方式

下記にて詳しく解説していきます。

【スノーダクト方式】

スノーダクト方式は名前のとおり、ダクトを取り付けて雪どけ水を流す方式です。

近年主流の無落雪屋根で、バタフライ屋根とも呼ばれています。

勾配がついた屋根中央のダクトから水を外部に流していきます。

通常の屋根とは勾配が逆のため、落雪の心配がありません。

【ルースフラット方式】

ルースフラット方式とは、外側に向かって少し勾配をつけた平らな屋根のことです。

わずかな勾配で傾斜はほとんどなく、屋根からの落雪が軽減できます。

雪どけ水や雨水は勾配によって雨樋へ流れる仕組みです。

ほぼ平らな屋根なので、新雪なら積もる前に風に飛ばされ積雪量が少なくすみます。

主な落雪対策

落雪ストップ雪止め3

普段あまり積雪のない地域ほど落雪対策が必要です。

適切な落雪対策は自宅や人を守るため、降雪時の生活を安心して送れるようになります。

・屋根に雪止めを設置する
・無落雪屋根への葺き替えをする
・電動の融雪システムを取り付ける
・こまめに雪下ろしを行う

以上4つの落雪対策を詳しく説明します。

屋根に雪止めを設置する

屋根からの落雪を防ぐには雪止めの設置が効果的です。

あまり積雪のない地域では最もコストパフォーマンスの高い対策といえます。

雪止めは屋根に金具やアングル、金属製のネットなどを取り付けて落雪を防止するものです。

それぞれの種類に特徴があり自宅にあったタイプを選択可能ですので、いざという時に備えたい方は検討してみてください。

無落雪屋根への葺き替えをする

屋根の形をM字型や平らにして、構造的に落雪を防ぐ方法が無落雪屋根です。

M字型は「スノーダクト方式」平らな屋根は「ルーフフラット方式」と呼びます。

積雪が多い地域では雪下ろしの手間が省けるため非常に重宝しますが、雪が屋根に溜まる構造なので建物に負荷がかかるというデメリットがあります。

また屋根の葺き替え費用も100〜450万円と高額なので、積雪の少ない地域では割高感があるかもしれません。

電動の融雪システムを取り付ける

電気による発熱で雪をとかし、落雪を防ぐのが融雪システムです。

融雪システムは屋根全体にヒーターを敷き詰めるタイプと、軒先近辺に金網状のネットを取り付けるタイプがあります。

熱ですぐに雪をとかしてくれるため落雪の心配は少なく、豪雪地域に適した落雪対策です。

しかし、設置のための費用や高額な電気代が発生するため、積雪の少ない地域には向いていない落雪対策といえます。

こまめに雪下ろしを行う

人力で雪を下ろして落雪を防ぐ方法もあります。

雪下ろしの際は必ず複数人で行い、昇降用のハシゴをしっかりと固定しましょう。

どんなに気をつけて作業しても降雪時は足元が不安定であるため、高所作業は危険が伴います。

雪に慣れていない方は屋根に登るのは避けることをおすすめします。

落雪を防ぐため屋根の雪を処理するときの注意点

雪止めネット6
落雪による被害を防止するためには、屋根の雪を処理する必要があります。

思わぬ事故につながらないよう下記3つに注意することが大切です。

・屋根から落下しないよう注意する
・屋根雪を落としてから軒下を除雪する
・周りの人に落雪が当たらないよう注意する

雪下ろしは自分だけでなく、周りにも配慮して安全に行ってください。

屋根から落下しないよう注意する

屋根に登っての雪下ろしは、落下事故につながるため危険です。

雪の状況によっては滑りやすくなっている可能性があります。

なかには万が一落下したとしても雪があるとクッションになると、思っている人がいるかもしれません。

しかし、雪に埋もれてしまうと命の危険にさらされます。

無理して屋根に登らない、ヘルメットを着用するなど安全に十分気をつけて作業することが大切です。

屋根雪を落としてから軒下を除雪する

軒下の除雪作業は屋根の雪を落としてから実施します。

屋根雪が残ったまま軒下の除雪をすると、思わぬ落雪被害が発生する可能性があるからです。

急に気温が上昇すると屋根にある雪はすべりやすくなります。

大きな屋根ほど落雪量が増え、勾配が大きいと落雪のスピードも上がります。

雪に埋もれると少し時間が経過しただけで生存率が急激に低下するため危険です。

命を守るためにも軒下の除雪をするときには、屋根に雪があるかどうか確認する必要があります。

周りの人に落雪が当たらないよう注意する

屋根の雪下ろしは周りに人がいない状況で行います。

落雪による死亡事故があるように、雪は思っている以上に重いからです。

とくに新興住宅地や隣家と密接している住宅の場合は人通りが多く、子どもが飛び出してくる可能性もあるため十分注意する必要があります。

落雪防止に役立つ雪止めの種類

落雪ストップ雪止め

降雪の少ない地域では雪止めの設置が落雪に効果的です。

雪止めは数種類ありそれぞれ特徴が異なります。

・雪止めネット
・雪止めアングル
・雪止め金具

1つずつ詳しく説明します。

雪止めネット

軒先の近くに設置する金属製で網状のものが雪止めネットです。

屋根から滑り落ちる雪をネットでキャッチするため、落雪防止効果が高いのが特徴です。

あとから雪止めでは「落雪ストップ」という雪止めネットをおすすめしています。

費用は6〜13万円程度(足場代抜き)で降雪の少ない地域ではコストパフォーマンスも高く、最もおすすめの雪止めです。

雪止めアングル

長い棒状の金属を屋根に設置して落雪を防ぐのがアングルです。

屋根に隙間なく設置できるアングルは落雪防止効果が高いのが特徴で、設置の費用は15〜20万円程度(足場代抜き)ほどかかります。

ある程度の降雪がある地域では有効な落雪防止対策です。

雪止め金具

屋根に設置する雪止めは金具タイプのものもあります。

屋根の間に挟んで使用する金具タイプの雪止めは、扇型と羽つき型の2種類があります。

間隔を開けて設置するため落雪防止効果は低く、費用は13〜16万円(足場代抜き)ほどです。

金属製の屋根へ雪止め金具を設置する際は、サビが発生しにくい素材のものを使用するのが大切です。

参考:融雪システムの設置

落雪対策には雪止めのほかに融雪システムの設置があります。

散水したりヒーターまたは温水を活用して屋根を温めたりすることで、雪を溶かす装置です。

屋根全体の積雪を防げるため、雪下ろしの手間がかかりません。

ただし、屋根の上で融雪することにより結露が起きやすくなるのがデメリットです。

雪止めの設置方法


カラーベスト屋根に雪止めを設置する方法を紹介します。

・表面のスリット部分の上に金物を取り付ける
・道具で少しだけ材料を持ち上げ、カラーベスト材同士の隙間にすべり込ませる
・持ち上げた状態で金具を奥まで差し込む
・金具をハンマーで叩いて戻す
・金具の下にシーリングを注入し金具の振れを防止する

雪止め設置間隔の多くは450〜600mm程度です。

積雪量が多い地域や屋根の面積が大きい場合は、雪止めを2段や3段にして取り付けることもあります。

太陽光パネルの設置状況によっては、雪止めの取り付けができない可能性があります。

雪止めを設置できるかどうか、業者と十分相談することが大切です。

落雪対策後のメンテナンス方法

雪止め 人物
落雪対策を実施したあとのメンテナンス方法を紹介します。

・雪止めの場合
・融雪システムの場合

それぞれメンテナンス方法が異なるため参考にしてください。

雪止めの場合

雪止めは、サビや欠損などが見られたら交換します。

劣化した雪止めは落雪防止効果が低下する恐れがあるからです。

屋根から落下してしまう危険があるため、自分で交換するのではなく専門業者への依頼がおすすめです。

融雪システムの場合

融雪システムは定期的なメンテナンスが必要です。

融雪の効果が弱いと不具合が生じている可能性があります。

業者による定期点検があれば積極的に活用しましょう。

雪止め設置を依頼するときの業者の選び方

雪止めネット8
雪止め設置を依頼するときの業者の選び方にはポイントがあります。

・口コミや評判を参考にする
・屋根の点検があるか確認する
・地域密着型の業者か確認する

納得した設置工事ができるように、業者を見極めることが大切です。

口コミ・評判を参考にする

業者を選ぶときには口コミや評判を確認するのがおすすめです。

公式サイトだけだとわからない情報を知ることができます。

満足度や担当者の雰囲気などは、実際に利用した人にしかわかりません。

悪徳業者の回避にもつながるため、SNSや口コミ・評判サイトをチェックしてみてください。

屋根の点検があるか確認する

屋根の点検が丁寧かどうかも、業者を選ぶポイントです。

雪止め設置には屋根の状態を把握する必要があります。

点検がない、対応が悪いとなると不安になる人もいるでしょう。

さらに施工予定の工事内容を丁寧に説明してくれる業者なら、安心して任せられます。

契約前には屋根点検が無料なのか、有料なのかも確認しておくことがおすすめです。

地域密着型の業者か確認する

地域密着型の業者に依頼すると施工の失敗リスクが低くなりやすいです。

地域の特性を理解しているため、住宅に最適な提案をしてくれるからです。

万が一、施工後に何かあっても周辺地域だと素早く対処してくれる可能性もあります。

依頼する業者は地域密着型かどうかの確認もしておいてください。

落雪に関するよくある質問

落雪に関する様々な疑問点をまとめました。

落雪について詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

車両保険は落雪による被害にも適用されるの?

落雪で自動車に損害が発生した場合は車両保険が適用される可能性があります。

車両保険は「一般型」と「エコノミー型」の2種類がありますが、どちらのタイプも補償の対象です(保険会社によって名称が若干異なる場合があります)。

落雪が直接自動車に当たる被害のほか、カーポートが落雪により破壊され、その下にあった自動車が損害を受けた場合も補償される可能性があります。

車両保険を適用すると次年度の等級がダウンすることを忘れないようにしましょう。

カーポートの雪止めはどうしたらいいの?

バータイプの雪止めをカーポートの屋根に設置するのが一般的です。

カーポートメーカーで雪止めを作っているところは少ないので、自作するか業者に依頼するのが良いでしょう。

雪止めフェンスとはどういうもの?

雪止めフェンスとは落雪を防ぐフェンスのことです。

屋根に積もった雪が隣地へと落下するのを防ぐために、陸上へ設置します。

屋根からの落雪を阻止したいところの境目に設置する場合がほとんどです。

ただし雪止めフェンスは設置スペースが必要のため、土地が広い家にしか取り付けできません。

狭小住宅や首都圏など、隣家と接近している家には不向きです。

適切な対策を行い落雪による事故を防ごう

雪止め(瓦棒屋根-羽根付き)

落雪は想像以上に危険な現象で、建物の所有者は適切な対応を求められます。

本記事では以下のことをお伝えしました。

・落雪は人間や自宅、隣家に多大な被害をもたらす
・降雪量に適した落雪対策を施す必要がある
・雪止めには様々な種類がある

雪止めの設置により落雪の被害を最小限に食い止められます。

降雪の少ない地域の方は軽視しがちですが、雪に慣れていないからこそ降雪時は慌ててしまいます。

適切な落雪対策をして積雪時に備えましょう。

【関連記事】
落雪を防ぐ「雪止め」とは?必要性や施工費用、よくある10の質問

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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