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コラム

雪庇(せっぴ)とは?対策方法や注意点などを詳しく解説

雪止めネット7

「雪庇(せっぴ)対策を知りたい」
「雪庇対策をしなければどのようなトラブルが起こるのか知りたい」

積雪地域にお住まいであれば、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
雪が多く積もる地域であれば、屋根からの落雪対策は必要です。
そこで、この記事では雪庇対策について以下のような情報を詳しく解説しています。

・雪庇とは
・雪庇の対策方法
・雪庇対策をしないとどうなる
・雪庇対策をする際の注意点

記事を読んでいただくと、雪庇に対する不安やお悩みを解消できます。
安心して冬を過ごすためにも、ぜひ記事を参考にして雪庇対策を行ってみてください。

雪庇(せっぴ)とは

雪庇とは、屋根に積もった雪が風により庇(ひさし)の方へ押し出されてしまい地上に向かって垂れ下がった塊のことを指します。
特に、無落雪屋根には雪庇ができやすいため、注意が必要です。

無落雪屋根は、一般的な三角屋根に比べて雪下ろしが不要であるといわれています。
しかし、水平な屋根だからこそ雪庇ができやすいのです。
雪庇についてさらに詳しく知るために下記の3つの項目について紹介します。

・2種類の雪庇について
・雪庇ができるメカニズム
・雪庇の特徴

それぞれについて詳しく解説していきます。

2種類の雪庇について

雪庇には2つの種類があります。
1つめは、雪を被った山の尾根や山頂で、風下方向にできる雪の塊です。
雪山に登山する場合には、足を踏み外さないように雪庇に十分気を付けなければいけません。

2つめは、住宅で積もった雪が屋根からせり出している状態のことを雪庇といいます。
住宅にできる雪庇は、重さが屋根の負担になったり急に落ちる危険性があったりするので、対策が必要です。
本記事では、主に住宅にできる雪庇の対策について解説していきます。

雪庇ができるメカニズム

雪庇は、降雪時の気温や風速、雪質など条件がそろったときに発生します。
建物の屋根に積もった雪が風で徐々に壁より外側にせり出して雪の塊になる現象です。
風下側の庇に吹雪によって雪の粒が付着することで、雪庇が形成されると考えられます。

屋根に積もった雪が温度差の関係で一部溶け、外気でもう一度冷やされると氷になります。
氷になった雪の上にさらに雪が積もり、どんどん圧縮されて重みが増してしまうのです。
重みに耐えられなくなったり気温が上がって溶けたりすると落下する恐れがあるので、雪庇への対策が必要となります。

雪庇の特徴

雪庇を放置しておくと、どんどん成長して重みが増してきます。

ただし、すべての方角において雪庇ができるわけではありません。
風向きの影響が大きく、基本的に雪庇は風下側にできやすくなります。

また急激な大雪や風の変化で、一気に雪庇が成長するケースもあるので注意が必要です。
雪庇は大きくなればなるほど、重みを増し落ちる危険性が高まります。

雪庇ができやすい地域

雪止め(横葺き板金屋根 羽根付き)5

雪庇ができやすい地域は、降雪量の多い地域です。
降雪量が多いと屋根の雪の量も増えるので、雪庇ができやすくなるからです。
北海道など雪の多い地域では、戸建て住宅のための屋根の雪処理計画の冊子を配布するなど、雪害対策に取り組んでいるところがあります。

年に数回程度雪が降る地域などでは、雪庇対策はほとんど必要ありません。
降雪量が不十分であるため雪庇が形成される可能性は低いからです。

ある程度まとまった降雪量がある地域で雪庇ができることが多くなります。

雪庇に対する事前対策

雪止め(横葺き板金屋根 羽根付き)3

冬を迎える前や家を建てるときなど、雪庇ができる前にできる対策について紹介していきます。
雪庇ができる前の対策は、下記のとおりです。

・屋根形状を確認する
・雪庇が落ちる場所にある設置物を移動させる
・新築する場合は工務店にしっかり相談する
・雪庇防止装置をつける
・雪止めを設置する

それぞれ対策方法を詳しく紹介します。

屋根形状を確認する

一般的に雪庇は、無落雪屋根と呼ばれる角度があまりついていない屋根で発生しやすいと言われています。
ただし雪が落ちるように設計された三角屋根でも雪庇が発生する場合もあります。
まずは自宅の屋根がどのタイプか確認して、雪庇ができやすい状態か確認しましょう。

無落雪屋根の場合は、雪庇が発生しやすいです。
雪庇が形成された場合には事故につながる前に早めに対処しましょう。

雪庇が落ちる場所にある設置物を移動させる

雪庇が落ちる場所にある設置物を移動させておくのも大切です。
暖かくなって雪庇が落ちると危ないので、隣の家に落ちる可能性はないかなど、雪が降り始める前に確認しておきましょう。

雪庇が落ちる場所が駐車場になっていないかも確認してください。
物干し竿など冬場あまり使わないものであれば移動させるなどして、雪庇が落ちて破損しないように対策をしておきます。
他にも設置物がある場合は、雪が降り始める前に移動しておきましょう。

新築する場合は業者にしっかり相談する

新築で家を建てる場合は、しっかりと業者と打ち合わせを行ってください。
降雪量の多い地域だから、雪害対策はしてくれるだろうと思わず、しっかりと確認したほうがいいです。

家を建てたときに雪庇ができやすい方角はどこか、落ちると予想される場所が人の通り道や駐車場になっていないか確認してください。
外観に強くこだわると雪害対策が疎かになる可能性もあるため、希望するデザインで問題ないか事前に業者に確認をしておきましょう。

雪庇防止装置を取り付ける

屋根の庇側に、雪庇防止装置を取り付けるのもおすすめの方法です。
無落雪屋根の庇側で、雪庇ができやすい面に板状または三角柱の形状をしたカバーを取り付けます。

メーカーや商品によって素材は異なりますが、高さのある雪庇ができても落下しないように頑丈な造りになっています。
設置後も積雪量が増えたときのために、高さを上げられる商品もあるため経済的です。
冬のみ取り付けられる着脱可能な雪庇防止装置もあります。

雪止めを設置する

雪止めを設置するのも有効な対策です。
雪庇ができると重みや気温の変化で落ちる可能性があります。
雪庇が落ちると人的被害や近隣への被害、自宅の被害などの可能性が高くなります。

そこで雪止めを設置しておけば安心です。
たとえば、効率よく落雪を止めてくれる「雪止めストップ」という雪止め装置があります。
一度設置してしまえば維持費が不要なのも魅力です。
大半の屋根形状に対応できるので、この機械にぜひ設置を検討してみてください。

雪庇ができてしまったときの対策

雪止めネット8

ここからは、実際に雪庇ができてしまった場合の対処法について紹介していきます。
雪庇ができてしまったときの対処法は、下記のとおりです。

・雪下ろしをする
・雪庇切りを利用する
・業者に依頼する

それぞれについて詳しく解説します。

雪下ろしをする

まずは、雪庇ができる前に雪下ろしをする方法です。
雪庇が大きくなる前に、屋根の上から雪下ろしをします。

できれば、雪が積もってきたら早めに対処することをおすすめします。
スコップや雪下ろし用の道具を使い、地面に向かって雪を落としていきましょう。

また、作業を行う際は誰かほかの人にもサポートを依頼しましょう。
毎年、雪が降る地域では雪下ろし中の事故が発生しています。

もしも屋根から落下したり、雪に埋もれたりしても誰かが側にいればすぐに発見してもらえます。
安全に雪下ろしをするためにも、2人以上で作業を行いましょう。

雪庇切りを利用する

雪庇切りを使用すると、屋根に登らず雪庇を落とせます。
雪庇切りとは、先端に雪を割るための歯が付いた数メートルほど伸縮性のある道具です。

ホームセンターやインターネットでも購入できます。
屋根の高さにあったものを使用し、地上から雪を割って下に落とします。

窓や壁に雪が当たってしまうと破損する恐れもあるので使用時には注意しましょう。
周囲に通行人が居ないかなど、安全確認を怠らないことも大切です。

業者に依頼する

雪庇落としをしてくれる業者にお願いする方法もあります。
屋根の雪かきは屋根に登る必要があり、雪庇切りは窓や壁の破損につながる恐れがあるため危険です。

高齢者のみの住まいなど自分自身で処理するのが難しいと感じた場合には、無理せず業者の力を借りましょう。
料金はかかりますが、雪かきや雪落としで事故が発生する場合もあります。
安全確保を優先的に考えて、業者への依頼も検討してください。

雪庇対策に必要な費用

雪庇対策に必要な費用について紹介します。
雪庇対策の施工をする場合、雪止めアングル、雪止めネット、雪止めフェンスなどがあります。

雪止めアングルとはアルミ製で屋根に取り付けるタイプの雪止め装置で、設置費用は15〜20万円程度です。
雪止めネットとは屋根に設置するネットのようなもので、設置費用は足場費用を抜いて6〜13万円程度となっています。
これらの装置を設置するため、足場は別途10〜30万円程度の費用が掛かることがあります。
雪止めフェンスは、地上に設置するものの費用が70〜110万円程度です。

雪止めフェンスは地方の土地が広い家にしか付けられず、隣家と接近している家には不向きの方法となっています。

雪庇を対策しないとどうなる?

雪庇を放置していると、以下のようなトラブルが発生する場合があります。

・屋根下の物を破損させる
・人身事故が発生する
・停電が起きてしまう
・転落事故が発生してしまう

これだけの数のトラブルが起きる原因になってしまうため、雪庇はできるだけ早めに対策することをおすすめします。
以下にて、それぞれのトラブルの内容をより詳しく解説していきます。

屋根の下に置いてある物を破損させてしまう

雪庇が落下すると、屋根の下に置いてある自転車や車、植木鉢などが破損してしまいます。
特に、車やカーポートなどが雪の重みで破損すると、補修に莫大な費用がかかるケースも多いです。

落雪が原因でカーポートや住宅などに被害が及んだ場合は、火災保険で補修できる場合もあります。
ただし、「予測できなかった被害」に保険は適用されます。
そのため、対策ができた雪庇によって破損被害が起きても、補償対象外となる可能性がある点は覚えておきましょう。

また、自宅内での落雪事故で済めばいいですが、隣接する家の物を破損させた場合は損害賠償請求を受ける可能性があります。
近隣トラブルにも発展すると、今後の生活がしづらくなってしまうでしょう。
戸建住宅を購入している場合は、すぐに引っ越すのもなかなか難しいです。
できるだけ近隣トラブルを起こさないためにも、屋根からの落雪対策は万全にしておきましょう。

人身事故が発生してしまう

雪庇は落下して下を歩いている人に当たると、大ケガを負わせたり、最悪のケースでは死亡させたりしてしまう場合があります。
屋根から落ちてくる雪は重さがあるため、大きな事故に発展しやすいのです。
実際に、屋根からの落雪で死亡してしまう事故が後を絶ちません。
死亡事故を引き起こす当事者とならないためにも、早めに雪庇は対策をしておきましょう。

停電を起こしてしまう

雪庇が屋根から落下すると、電線が切れてしまう恐れがあります。
電線が切れると停電が発生してしまいます。
停電が起きると、自宅だけでなく近隣住民にも多大な迷惑をかけてしまうことになるでしょう。

また、切れた電線が原因で火事になったり、人がケガをしたりする可能性もあります。
屋根からの落雪は物損事故や人身事故だけでなく、ライフラインの遮断というトラブルにもつながります。
冬の停電は積雪地域では特に避けたいトラブルです。
雪庇は甘く見ずに、きちんと対策をしておきましょう。

転落事故を起こしてしまう

雪庇をそのままにしておくと、屋根から転落してしまう危険性が高まります。
雪庇を放置していると、屋根の端がどこまであるかわからなくなりやすいです。
そのため、何かの用事で屋根の上を歩いていて端に気付かずに、落下事故を起こしてしまう場合があるのです。
いくら地上に雪が積もっていようが、当たり所が悪ければ大きなケガを負ってしまうでしょう。

また、死亡事故に発展する可能性もあります。
悲しい事故を起こさないためにも、冬になる前に雪庇対策を施しておきましょう。

雪庇対策をする際の注意点

雪庇対策をする際は、以下の点に注意して行いましょう。

・周囲の状況に注意する
・落下しないように注意する
・なるべくこまめに雪庇を落とす
・ガラス窓の養生をする
・必ず2人以上で作業する
・近隣へ知らせておく
・雪庇防止装置は優良業者に依頼する

できるだけ安全に、確実に雪庇対策するためにも、ぜひ確認しておきましょう。
以下にて、それぞれの内容を詳しく紹介していきます。

雪下ろしの際は周囲に注意する

雪下ろしの際は、必ず建物の下に人や車などが通っていないか確認して、雪は少量ずつ落とすようにしましょう。
一気に落とすと、雪の重みが増して事故を起こす可能性があります。
必ず、周囲に人がいないか車がいないか確認しましょう。

落下しないように注意する

雪庇を取り除く際に、屋根から転落しないように注意しておきましょう。
平らな屋根であっても、雪が積もっていると足元が滑りやすくなっています。
そのため、普通の道より転倒しやすくなっています。
作業を行う際は足元に十分注意をして、必ず命綱を装着するようにしましょう。

なるべくこまめに雪庇を落とす

雪庇は放置しておくと、どんどん成長して大きくなります。
悪天候で一気に雪庇が大きくなることもありますが、基本的には大きくなってしまう前に対応すると雪かきや雪落としが楽です。
雪庇対策を雪かきや雪落としで対応しようと考えている場合は、なるべくこまめに雪庇を落とすようにしましょう。

ガラス窓の養生をする

雪かきや雪落としで雪庇を落とす場合には、ガラス窓を養生しておくと安心です。
雪庇は雪というよりも重い氷の塊のようになっているので、窓ガラスに当たると割れてしまう可能性があります。

養生は難しく考えず、段ボールなどで保護しておくだけでも大丈夫です。
窓ガラスが割れないように、雪庇落としをする際には養生をしましょう。

必ず2人以上で作業する

雪かきや雪落としをする際には、必ず2人以上で作業するようにしてください。
1人で作業をすると、時間と労力がかかり大変です。
寒い冬に外で長時間作業するのは大変なので、なるべく人数をかけて短時間で終わらせましょう。

万が一、事故が起きた際にも2人以上いたほうが対応しやすくなります。
事故があっても助けを呼べないケースも考えられるので、2人以上で作業をすることを徹底してください。

近隣へ知らせておく

雪かきや雪落としをする際には、家の場所や配置によって近隣の家にも声掛けをしておきましょう。
落とした雪が隣の敷地に入ってしまう場合や、隣の人が通行している可能性もあるからです。

雪かきや雪落としは危険を伴う作業なので、周辺にも配慮して行ってください。
一言近隣へ知らせておくことでトラブル回避にもつながります。

雪庇防止装置の取り付けは優良業者に依頼する

雪庇防止装置の取り付けは施工不良となると落下事故を招くため、優良業者に依頼するようにしましょう。
施工不良が起きると、再工事が必要になりさらに費用がかかってしまいます。
工事のトラブルを避けるためにも、優良業者を見つけることが大切です。

建設業許可を保有していたり、国家資格を持つ職人が在籍したりしている業者は技術力の面で優れているといえます。
また、地域で長く営業を続けている業者も、信頼度が高いため安心して工事を依頼できるでしょう。

雪庇対策におすすめの「雪止めストップ」の施工事例

落雪ストップ

雪庇対策をするなら、「雪止めストップ」がおすすめです。
具体的に、雪止めストップを設置した施工事例を紹介します。

設置前

設置後
落雪ストップ雪止め
設置前は屋根の軒先に雪が貯まった場合、雪庇になってしまう可能性がありました。
庇に雪止めストップを設置することで、雪庇が落ちにくくなります。
設置してしまえば、寒い冬に雪庇落としを行う必要がなくなります。

設置前

設置後
落雪ストップ雪止め2

太陽光パネルを設置している場合でも、雪止めストップなら設置可能です。
太陽光パネルの上に積もった雪の落雪を防ぐ効果があります。
雪庇が落ちないように、雪止めストップの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
雪止めストップは太陽光パネルを設置している屋根にも施工可能です。

雪庇対策は落雪事故を防ぐためにも優良業者に依頼して早めに行おう

積雪地域で無落雪屋根の住宅にお住まいの方は、冬が来る前に雪庇対策を行っておきましょう。
さまざまな事故、トラブルを未然に防ぐためには、危機意識を持ち早めに対処する必要があります。
また、雪庇を防止するための装置は優良業者に施工を依頼して、落雪の不安を解消するようにしましょう。

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内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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